子ども達への影響

  DVのある家庭で育つ子どもの身体と心の痛みを、考えたことがあるでしょうか?
 叫び声、物が壊れる音、悲鳴、脅迫の言葉を 「その小さな耳」で聞き、
 そして繰り返される母親への暴力と、母親の傷ついた姿・涙、壊れた物が
 散乱した部屋を「その小さな目」で見続けなければならない状況を。
 「このことは児童虐待の定義に加えられました」(平成16年改正、児童虐待防止法第2条)
   
   DVが子どもに及ぼす影響として、四つの影響があると考えられています。

 (1) 子どもも直接的な被害者になるということ
 (2) 暴力の目撃者になるということ
 (3) 暴力は世代から世代へと受け継がれていくということ
 (4) 子どもの安全な生活や発達が保障されないということ

   (#1より引用)

 
 (1) 子どもも直接的な被害者になるということ
    ・子どもへの直接的な暴力 (DV当事者のうち子供がいる女性の約3分の2が
    子どもへの暴力も同時にあったと回答・・・#3の調査結果より)
    行き場をなくした母親による虐待も、また存在する
 
 (2) 暴力の目撃者になるということ
    ・心理的虐待を受けた場合の影響と類似すると言われている
    ・言葉の暴力などの「精神的暴力」や、物を壊すなども同じことです。
     それは子どもにとって、恐怖と極度の緊張をもたらします。
 
 (3) 暴力は世代から世代へと受け継がれていくということ
    ・DVのある家庭で育つ、全ての子どもが、そうなるという訳ではない。
    そう決め付けてしまうのは、さらに子どもたちを傷つける「偏見という名の
    暴力」であると考える。 
    しかし、米国での統計ではDVの加害者の多くが、子どもの頃に親から虐待 
    を受けたか、親のDVを目撃していると言われているのもまた事実である。
    DVのある家庭で育つことにより、男の子は「男は、女を自分の思う通りに
    してよい」「暴力という手段が許される」と学び、女の子は「女は結婚が
    絶対」「何があっても離婚はいけないこと、耐えるべき」と学んでいくためと
    説明されている。 そして、大人になる過程で、その「刷り込まれた規範」
    が修正されない場合、「世代間連鎖」という鎖から解き放されない。
 
 (4) 子どもの安全な生活や発達が保障されないということ
    ・そのため、発達上、様々な影響が現れています。発育障害と診断される子どもたちの中に
    虐待(DV)の影響を背負っている場合が見うけられます。
  

表1 「子どもに現れた問題や症状」 (複数回答)

N=52

回答数

割合(%)
父への憎悪・恐れ

18

34.6
性格・情緒の歪み

11

21.2
不登校

9

17.3
吐く・おもらし・泣く・チック

7
13.5
ノイロ−ゼ・自殺を図るなど

6

11.5
本人が暴力をふるうようになる(兄弟・友人などに)

6

11.5
無気力・無感動など

4

7.7
周りの世界を遮断する

4

7.7
生活習慣の乱れ(酒・タバコ・パチンコなど)

3

5.8
身体的徴候(発育不良など)

2

3.8
身体的外傷

2

3.8
その他

3

5.8
特になし

7

13.5
不明

4

7.7

 (東京都 『「女性に対する暴力」 調査報告書』より  #1より引用)

   PTSD(心的外傷後ストレス障害)という言葉は最近よく耳にするようになった。
 DVというトラウマを体験した子ども達への影響は計り知れない。 
 発達段階によっても影響は異なるが、幼いほどその障害は大きいと言われている。
 身体の傷は目に見えるが、心の傷は目に見えず、またその深さもはかりしれない。
 そしてそれらは、DVという出来事が終わった後であっても、PTSDとして、さまざま
 な形で現れる。 子ども達の心のケアはまだまだ今後の課題の1つである現状。
 子どもの頃の体験で(そうと認識していない場合も含めて)、青年期以降さらに
 苦しめられる。 
  
  
   子どもに何をしたか、何を与えたかではなく、「子どもに何を見せたか」に敏感に
 なって下さい。 どんな夫婦の会話を聞かせ、どんな夫婦の姿を見せたかが
 何よりも大切なことです。
  
   米国ではDVに対する啓発のため、政府が作ったスポットCMが流されている。
 女綱(なづな)の学習会において、そのビデオを観る機会があった。
 
   
  【・・・帰宅した夫と、それを迎える妻。 どこの家庭でも見られる風景から
   場面は始まる。 そして、些細なきっかけから口論が始まる。
   大声に気付いた幼い子どもが、2階から足音をしのばせて降りて来る。
   そして、階段の途中からおそるおそる気配をうかがっている。
   ・・・(突然聞こえる) 母親が殴られる音、そして悲鳴。
   その音に「ビクッ」とし、脅えている様子はかなりのリアルさ。
   そして字幕が画面に流れる。 
     「子ども達は見ています。あなたは言い訳出来ますか?」と。
   
    「児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力」は虐待を定義されています。
                             (改正児童虐待防止法2条)
   
【引用・参考文献】
#1 日本DV防止・情報センタ−編著:
           「ドメスティック・バイオレンス一問一答」、 解放出版社 2000
#2 梶山 寿子著: 「女を殴る男たち」 、文藝春秋社、1999
        〜第4章 「DVの危険にさらされている子どもたち」 友田尋子〜
#3 「夫(恋人)からの暴力」調査研究会 : 『ドメスティック・バイオレンス』
                                       有斐閣 1998
#4 日本交流分析協会 : 「交流分析士教本」 、1999
#5 信田さよ子著: 「愛情という名の支配」 、海竜社 1998


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